プロスコンス(Pros-Cons)表は、頭の中の思考をシンプルに整理することができる非常に便利なフレームワークです。
個人の意思決定にも使えますし、集団のファシリテーションでも使えます。
さらには、セールスでもこの思考は使えます。
なぜかというと、意思決定をサポートしてくれるので、行動を促してくれるのです。
基本的なテンプレートと事例も用意していますので、ぜひ活用してくださいね!
プロスコンス表とは?
まず、プロスコンス表の意味ですが、プロスはProsで賛成意見の意味、コンスはConsで反対意見の意味で、それらを整理した表のことをプロスコンス表と言います。
言いやすいように「プロコン表」「プロコンリスト」とも呼ばれます。
私たちが直面するあらゆる問題には、絶対的な正解というものがない場合がほとんどで、人によって真逆の答えを出したりします。
状況によって善が悪になり、悪が善になったりします。
ですから、その両面から比較検討していくことで、納得感のある意思決定をすることが重要なのです。
プロコン表の書き方
プロコン表の書き方はカンタンで、紙に書き出すだけです。
- やるべきか、やらないべきか
- Aを取るべきか、Bを取るべきか
こういったこういった二者択一の問題を設定して、考えを整理していきます。
ビジネスではこういった二者択一の状況判断の連続です。
これを感覚だけでやるのではあまりにリスキーですし、説得力も持たせられないので、それらの視点を整理して、丁寧に評価していくわけです。
では、早速プロコン表のテンプレートを紹介しましょう。
2種類のテンプレートと事例
プロスコンス表の書き方ですが、Yes or Noのパターンと、A or Bのパターンがあります。
それぞれ順番に紹介します。
まずは、Yes or Noパターンから。
情報発信をやるべきか(Yes or No)
優先度を主観で数値化していきます。
このプロコン表の場合は、賛成意見のほうが点数が高いです。
ですから、自分で納得した上で情報発信をスタートさせることができます。
別にキレイな表を作成しなくても、こんな感じで手書きで書いてもOKです。
むしろ、手書きのほうが脳が活性化するので、いろんな項目を思いつきやすいです。
一人でやるよりも、複数人でやってもいいでしょう。
それぞれで作成して、見比べるだけでも気付きが得られるはずです。
見落としをなくすには他人の視点を参考にするのが有効です。
仕組み化をしたい(A or B)
次に、業務の仕組み化を進めたい場合です。
考えられる方法は、人を増やして仕組み化を進める方法と、ITツールを使って仕組み化を進める方法の2つです。
検討項目はできるだけ漏れなく多く出したいですが、ざっとイメージを掴んでもらうために4つずつ書き出してみました。
一般的なことを書くのではなく、自分の会社にとってどうか、という具体的な書き方のほうが望ましいです。
テーマ:仕組み化を進めたい(A or B)
このようにメリットとデメリットを書き出してみることで、正しく比較検討することができます。
チームの場合は、それによって納得感のある合意を導き出すことができますし、個人であっても納得感のある意思決定が可能になるので、その後の行動が迅速になっていきます。
まずは自分でやってみてください
プロコン表は、キレイに書くことにこだわって手間を増大させるよりも、できるだけストレスなくさっと使うほうがよっぽどメリットが感じられると思います。
こういったフレームワークは使ってなんぼだということです。
読めればいいくらいの軽い気持ちで、あまり構えずに書いてみてください。
それから、大学のサークルや会社などグループでの意思決定で使用することもできますが、まず個人で使ってみるといいと思います。
何回かプロコン表を書いてみてその思考に慣れておくと、グループでもファシリテートしやすくなります。
プロスコンス表の活用アイデア
状況判断というものは、組織によっても違いますし、個人によっても違いますし、同じ個人でも時期によって違ってくるものです。
ですから、大事な場面では丁寧に検討することをオススメします。
そのほうが結果的に迷いなくスピーディに前進することができることが多いのです。
イメージとしては、ゆっくり、早く、です。
個人の意思決定
プロコン表は、自分の仕事だけでなく、趣味やプライベートの時間の使い方でも使うことができます。
人間関係の悩みなども白黒はっきりつけられないことがあります。
そういう時に、自分の思考を整理するのに便利です。
- 迷いが生じた時
- なんとなく行動が鈍った感じがする時
- なんかモヤモヤする時
そんな時に、紙にメリットとデメリットを書き出してみてください。
思考が整理されていきます。
ふだんからプロコン表に慣れておくと、その思考パターンが身についていくので、脳内の情報処理能力が上がっていくのが実感できると思います。
仕事での意思決定が早くなり、迷いがなくなるので、成果が上がりやすくなります。
集団の意思決定
グループでプロコン表の作成をする場合は、ホワイトボードや模造紙、そしてポストイットを用意してください。
まず、他者の意見に影響受けないように、個別でポストイットに書く時間を10~15分とります。
そして、ホワイトボードや模造紙に貼っていきます。
最初ランダムに貼ったあとは、カテゴリー別に貼り直していきます。
ダブった項目は重要度が高いので、優先度を上げて検討していきます。
ポイントは、そのグループの脳内をホワイトボードや模造紙の上で共有するということです。
「そんな事考えてたんだ!」
「なるほど!その視点はなかったよ!」
といった発見が必ずあります。
ただ話し合ったり、ミーティングしても、ふわふわする場合があると思います。
あいまいにしたままにするよりも、プロコン表に丁寧に書き出して比較検討することで、より深い納得感が得られるので、チームの結束力が高まります。
その一体感が、チームの行動にスピードをもたらしてくれます。
なぜプロスコンス表が有効なのか?
ここでは、プロコン表を使うことがなぜ思考の整理に役立つのか、についてもう少し深く解説していきたいと思います。
心理学の知識と絡めて理解すると分かりやすくなります。
人が行動するのは2つの理由しかない
これはよくセールスする時に言われることですが、人が行動する理由には2種類しかありません。
それは
- メリットがほしい
- デメリットから逃れたい
の2つです。
もしコピーライティングの勉強をしたことがあるなら、どこかで聞いたことがあるかもしれません。
つまり、メリットとデメリットを書き出して整理していくと、自分にとって買うべきかどうかの判断ができるのです。
買うかどうか迷っている人は、だんだん何に迷っているかすら分からなくなっていきます(笑)
そんな時に、相手の思考を整理するサポートをして、その方にとってベストの選択ができるように導いてあげるのがセールスの役割です。
「購入した時に得られるメリットは?」
「購入した時にあり得るデメリットは?」
「購入しない場合のメリットは?」
「購入しない場合のデメリットは?」
といった趣旨の質問を投げかけてあげると思考を整理するのを助けてあげることができます。
メリットやデメリットがうまく伝わっていなければ、また説明しなおせば、正しくお客様が判断できるようになります。
納得感を感じながら購入してくれるので「いい買い物をした!」と思ってもらえますし、買わない選択をしてもあなたへの信頼度は上がります。
頭の中の見える化をする必要性
知識が豊富で頭のいい優秀な人ほど、頭の中だだけで結論を出そうとします。
しかし、実は頭の中で考えてるだけでは、本当の意味で考えられていないのです。
これはやってみると分かります。
書き出すと必ず気付きがあることを実感するでしょう。
私たちの脳は意外とバカであると思っておいたほうが重要な気付きを逃さずに済みます。
ほんの小さなことなのですが、この気付きの重要性をあまく考えて、早計な判断をすると、後々迷いが生じる原因になるのです。
頭の回転が早い人ほど、紙に書き出すプロセスをおろそかにしがちなのですが、ここを丁寧にやれる人が、もっとも無駄なく、効率的な選択をすることができると思います。
自分の中に基準を設ける
プロコン表を書く時は、項目だけでなく、項目ごとに優先度を数値で付けていきます。
ここにも大きな意味があります。
一人でプロコン表を書く場合は、主観で決めてOKです。
チームで書く場合は、ダブった数を重要度とすればよいでしょう。
ここで大事なのは、人やチームによって、同じ項目が出たとしても、優先度は違ってくるということです。
大事なのは、自分にとってどちらがいいか、なのです。
当事者になって評価をするからこそ、自分にとって正しい意思決定が可能になるのです。
まとめ
紙に書き出すこと、言葉にアウトプットすること、は思ってる以上にメリットが大きいです。
そんな単純なこと、と言ってやらない人がほとんどなので、やった人が圧倒的に有利に立てるのですが、やる人はすぐに実感できると思います。
脳内の情報処理能力が上がると、仕事でもプライベートでもメリットが大きいです。
ぜひプロコン表という便利なフレームワークに慣れて、その思考パターンをインストールしてくださいね。
備考:英語だとどのように使われる?
What are the pros and cons of this project?
このプロジェクトについて意見を聞かせてほしい。
Our manager has a lot of pros and cons.
我々のマネージャーには多くの賛否両論の部分がある。
We must weigh the pros and cons of doing business with them.
我々は彼らとのビジネスについて十分考慮しないといけない。
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