おもしろいもので私たち人間は思い込む生き物です。
その思い込みのことを心理学では認知バイアスといって、ついつい実態と離れた認識を持ってしまうもの。思考の偏りのクセみたいなものですね。
たとえば
「きっとこの仕事はうまくいくだろう。」
「きっと自分にはできるだろう。」
「今度こそは大丈夫だろう。」
「この人と結婚したら幸せになれるだろう。」
そういう根拠のない自信を持ってるポジティブな人っていますよね。それ自体は決して悪いことではありません。結婚なんて勢いがないとできないものだったりもしますしね。
ですが、残念ながら、経験が足りない人の未来予測は残念ながらほぼ外れます。
思った通りにはならないんです。
またあるいは
「自分にはできなさそう」
「それってセンスや才能がないと無理でしょ?」
とネガティブな方向に偏る認知バイアスもあります。
ポジティブな偏りの認知バイアスと、ネガティブな偏りの認知バイアス。厄介なのは、私たちはみんな多かれ少なかれ、これらの認知バイアスにハマってしまうということです。
じゃあその認知バイアスをどう理解すればいいのか。さらにどうやって乗り越えたらいいのか。さらに、ビジネスにどう活かしていけばいいのか。
そんな話をしていきたいと思います。
経験が足りない人の未来予測はあてにならない
経験不足の人の未来予測は本当にあてになりません。
答えは非常にカンタンで、必ず認知バイアスが働くからです。しかも、偏りが非常に大きいんです。
未経験のことに取り組む時は、実態以上にカンタンにできるだろう、という推測を立ててしまったり、実態以上に難しいだろう、と推測を立ててしまうのです。
それが実態とあまりにかけ離れているとなかなか成功することはできないのです。
たとえば、実態以上にカンタンにできるだろう、と考えるタイプの人は、考えが甘いので、ちょっと思い通りにならないことがあるとすぐに挫折してしまいます。
またその一方で、実態以上に難しいだろう、と考えるタイプの人は、慎重に考えすぎてそもそも行動に移さないので、そもそも成功に近づくことさえできないのです。
頭がいいとか悪いとか、あまり関係ありません。
優秀な人でも認知バイアスの罠にあっさりハマります。ある意味、優秀な人ほどプライドがあるので抜け出しにくいという側面もあるくらいです。
たとえば、ステップメール添削ではよくこういうことが起こります。
ステップメール添削のあるある話
私はステップメールの書き方を教えていることもあり、有料の添削サポートを申し込まれた方の添削をちょこちょこしているのですが、
「教えてもらったとおりに書いてみたのですがこれでどうでしょうか?」
と自信満々に提出してきた内容を確認すると、だいたいがおかしな文章なんですよね。。がんばって書いたのは分かるのですが…。だいたいというのはほぼほぼです。99%はダメな文章です。
さらに残念なのが、
「おれは日本語の文章はそれなりに書ける!」
そういう自信がある人ほどダメなところを指摘しても、プライドが許さないのか受け入れてもらえないことが多いということです。頭が良すぎてどうしても理屈っぽい文章を書いてしまうのです。
感情を動かせなければセールスは失敗します。
でも、理屈っぽくなればなるほど感情表現から遠ざかってしまいます。なので、セールスの世界ではあるあるですが、頭がいい優秀な人ほど売れない、ということがよく起こるのです。
過去の栄光にとらわれる人の悲劇
それから、最近いろんな人と話して気づいたのは、過去の栄光にとらわれてしまうと、その思い込みから抜け出すことはなかなか難しいということです。
つい、できる気になってしまうんですよね。
SNSでもブログでもYouTubeでも、いろいろリサーチしてるとおもしろい情報が手に入ります。
実はめちゃくちゃ将来の収入に不安を抱えているのにキラキラな生活を演じている人とか、すでに通用しなくなった古いノウハウをいまでも通用するかのように発信している人とか、本当は苦しい作業を我慢してやってるのに楽に稼げるとウソを付いていたり。
経験が浅い人は、なかなか見破るのが難しいと思います。
で、話を戻しますと、過去の成功にとらわれる典型的なパターンは、ずっと同じノウハウにこだわるパターンです。たとえば、
「月300万ブログで稼いだ経験があるけど、いまは月10万まで落ち込んでしまった。。でも、なんとかまたブログで一発当てることはできないだろうか。」
そんなことをつい考えてしまうんですよね。これは実際に直接聞いた話なんですけど、なぜ落ち込んだのかを聞いてみると
「作業自体が苦痛になってきたし、なおかつ、ライバルが増えて稼ぎにくくなってきたからモチベーションが下がって、どんどん右肩下がりになっていった。」
と言ってました。
「それ、、、また同じこと繰り返すだけじゃん、、、」
と思ったのですが、この認知バイアスは覆すことができないので、
「本当に自分が望んでいることかどうかじっくり考えるといいと思いますよ。」
としか言えませんでした。あぁ、過去の栄光にとらわれるとなかなか抜け出すのって難しいんだな、と思いました。
またこんな人もいました。
「以前に年間1億売った仕組みを作った経験があるんですけど、なぜか前に進めなくなってしまって。。」
よくよく聞いてみると、他人の商品を売る仕組みを作ったそうで、自分の商品を売る仕組みではなかったのですが、これ、経験しないと分からないんですが、他人の商品を売るのと自分の商品を売るのって必要な能力がぜんぜん違うんですよ。
他人のふんどしで売れたからといって、自分ひとりで売れるとは限りません。
でも、自分ひとりでも売れるだろう、と認知バイアスが起きてしまうのです。
他にも似たようなパターンとしては、会社でバリバリ活躍していた部長が、自信満々で独立したところ、ぜんぜん売上を作ることができずに倒産、とかですね。会社の看板があるから成果を出していたのに、それを自分の実力と勘違いしてしまった。
そんなあるあるパターンです。
過去にできたから今回もできるだろう、と考えてしまう認知バイアスが働いてることを理解できず、見積もりが甘くなってしまうパターンですね。
じゃあどうすればいいのかというと、自分ひとりの限界を認めることです。そして、他力を頼ることを知ることです。
他力を頼るとはどういうことか?
他力というのは自分以外のすべてです。
私は、本やセミナーを通していろんな成功者からも学ぶし、競合からも学ぶし、顧客からも学びます。妻からも学びますし、友人からも学びます。
要するに、自分ひとりの考えが絶対的に正しいと思っていないのです。
必ず認知バイアスがどこか起きてるはずだ、という前提で物事を考えるので、いい意味で自分を疑っているのです。だから、自分ひとりで何でもしようとせず、他人の力を借りるのです。
これが他力を頼るということです。
そうすると、いろんな視点が手に入るので実態との乖離に気づけるようになり、正しい見積もり、正確な未来予測ができるようになっていくのです。
正しい見通しが立てられるようになると、気持ち的にも楽になるし、コンサルをしててもクライアントの見通しが見えるので、より的を得たアドバイスができるようになります。
つまり、ビジネスが非常に楽になっていくのです。
自分ひとりでなんとかしよう、とする人ほど、頑固で人の意見を聞かないので、どうしても成果を出すのが難しくなってしまうわけです。
でも、そんなとき、とりあえず成功者の意見を素直に聞いてみると必ず違う世界が見えてきます。
たとえば、こんなことを成功者から学びました
私はある成功者からこう教わったことがあります。
「ビジネスで成功する人はポジティブなだけではダメだ。最悪の事態が起きた時にはこうする、とネガティブな想定も必ずしてから決断する。最悪の事態が想定できているので、思い切ったチャレンジができるので、これまで成功してきたんだ。」
なるほどなと思いました。
ポジティブだけでもダメだな。ネガティブだけでもダメだな。両方ちゃんと考えるってことが大事なんだなと思いました。
でも、考えてみれば当たり前のことですよね。そして、当たり前なことだけど、周りを見渡してみるとやってる人は少ない。ここに落とし穴があるんですよね。
当たり前すぎることって軽く考えてしまう傾向にあるからです。これも認知バイアスですね。
他にもこんなことを学びました
他にもこんなことを学びました。
「何かを学ぶ時は身銭を切らないとモノにならないよ。」
その人はもう60歳を過ぎてるのに、何か新しいことを学ぶ時には、歳下の人にも頭を下げてお金を払って学ぶ人でした。それを当たり前にしていたんですよね。
それを見た時に「うわ!成功者ってやっぱりこういう人なんだな!」と思いました。
ノウハウや知識だけを学ぶのならネットで十分です。かなりいい情報がたくさんネットで見つかります。
ということは、ノウハウや知識しか教えないならお金をもらうほどの価値はないということです。
成功者から学ぶべきは、ノウハウや知識だけじゃなく、その人の学ぶ姿勢や生き様です。その姿勢を真似すると、同じような思考、同じような行動ができるので、同じように成果を出すことができるようになります。
1年以上うだつが上がらないのはヤバい
コツコツやれば成果が出るだろう、と過度な期待をするのも、かなりの認知バイアスの沼です。成果を出せてない人の典型的な思考パターンですからね。
1年やっても思ったような成果が出てないなら、自分だけではもう不可能だと思ったほうがいいです。
だって、自分なりに1年がんばったのに成果が出てないわけですから、同じがんばりを継続しても、今日と同じ明日がやってきて、1年後も、2年後も、今日と同じにしかなるわけないじゃないですか。
でも、論理的に考えるとこういう結論にならざるを得ないのですが、認知バイアスが働くと途端に思考が乱れるんですよね。
「これだけがんばったんだから!」
「この努力はいずれ報われるはず!」
そんな博打的な思考にとらわれてしまって、ますます泥沼化。
なので、1年以上うだつが上がらないなら至急、なんらかの手を打たないといけないのです。
もし1年以上うだつが上がらないなら、不要な認知バイアスに囚われたままもがくのはもうやめて、もっといろんな人の力を借りて、自由に、伸びやかに、楽しくビジネスをやったらいいのに、と私は思うのですが、あなたはいかがでしょうか?
自由な思考を手に入れるのが成功の近道
ビジネスで大成功して大企業の育て上げるとなると、一握りの人しかできないかもしれません。
でも、自分ひとりや家族を食わせるくらいのスモールビジネスなら、誰だってやればできる程度のものだと思います。
インターネットのおかげで、リスクなくビジネスを始められる時代ですしね。
たとえ、経験不足で見積もりが甘く、思い通りの成果が出なかったとしても、大借金を背負わなければ、いくらでも挽回可能な環境が整っています。経験はいくらでも積めるのです。
認知バイアスの沼にはまり込むと、本当に時間を浪費してしまいます。
そして、失った時間は二度と戻ってきません。
だから、やりたいならやればいいのに、って思いますし、1年以上やってもうまくいかないならやり方変えればいいのに、って思います。
ま、認知バイアスに囚われてる人ほど、残念ながら聞く耳を持つことができない、というのが、現実なんですけどね。
でも、そこに気付けば誰でも壁を超えられるので、もしいま認知バイアスに囚われたとしても何かのきっかけに気づいてもらえたらうれしいです。
ここまで読んでみてどう思われたでしょうか。何か感じたことはあったでしょうか。
ぜひ感想お待ちしてます。
コメント
コメント一覧 (1件)
小川さん、こんばんは。
ビジネスで成功するための思考術
を読みました。
その中でも、
「成功者から学ぶべきは、
ノウハウや知識だけじゃなく、
その人の学ぶ姿勢や生き様です」
という言葉にドキッときました。
これまではノウハウや知識だけを
見てきたからです。
完璧な人間はいないのだからと
たとえ首をかしげるようなことがあったとしても
見ないようにしてきました。
というか、
そんなものだと思っていたんです。
これも認知バイアスでした。
もっと柔軟な考え方ができる人たちがいて
もっと楽しくビジネスをしている人たちがいて
もっと他力を頼っている人たちがいる。
私は、これまで生きてきた世界とは
全く違う世界を知り、
生きることが俄然楽しくなりました。
「その姿勢を真似すると、同じような思考、
同じような行動ができるようになる」
というのは、その通りですね。
写経をして覚えるのと同じで、
自分の思考の外に出れないときは
「その人ならどうするだろう」
と考えることで
新しい自分へと変わっていくことができます。
あとは新しい自分に慣れるまで
続けていくだけ。
これで迷ったり失敗したとしても
壁を越えていけます。
大事なことが身につきました。
ありがとうございます。