目先の利益より必要なこと&目先の利益を追う時の考え方とは?

目先の利益ということを考えた時に、そもそも利益って何なのか、ということを考えていく必要があります。

目先の利益とは何かを履き違えてしまうと、今から次踏み出す一歩を間違えてしまうためです。

目先の利益を追うことで、さまざまな弊害が起きてしまうということが、ビジネスの分野であったり、投資の分野、お金に関しての部分ではよく言われています。

まず目先の金銭的な利益を追うことにどういうリスクがあるのか、ということから話をしていきたいと思います。

目次

目先の利益を追うことのリスクついて

目先の利益を求める状態ということで、実例を挙げて説明します。

たとえば、アメリカという国について、いろんな人がいろんなことをいろんな角度で分析をしているわけなんですが、どのようなイメージをお持ちでしょうか。

一般的には、アメリカ人はものすごくチャレンジ旺盛で、失敗を恐れずにどんどん起業していくとか、そういう人たちが多い、そういう国民性なんだという認識なのではないかと思います。

ですが、果たして本当にチャレンジをする国、そういう国柄なのかということについて、面白いデータがあります。

開業率のデータですが、会社を起こして開業していこうという人の割合が、データで発表されてるんですが、この開業率がどんどん下がっているんです。

1980年代半ばの頃は12%以上の人が開業する、開業していた。

それが2010年代半ばになってくると、9%以下まで落ちてきています。

ずっと右肩下がりで、どんどんどんどん落ちてきてて、さらに2010年以降は急激に下がっています。

そして1990年代にIT革命。

この時にどんどん起業家が現れたということをニュースで聞いた覚えがあるのではないかと思いますが、実は、若者の起業家の比率というのは、それ以前の方が全然高かったということなんですね。

このパーセンテージも、日本から言うと、たしかに高いです。

日本の開業率というのは5%くらいって言われていますね。

ですが、ここでお伝えしたいのは、アメリカのそういうチャレンジ精神、開業していくぞと、そういう人たちが減っているという事実なんです。

アメリカ人の開業率が減っている理由

その理由としては、いろんな経済学者であったり、研究者が発表してるんですが、短期主義が蔓延しているというのが原因になっているのではないかと。

そういうことをクレイトン・クリステンセンやマイケル・ポーターが研究で明らかにしているんです。

短期主義というのは、まさに目先の利益を求めている、そういう状態です。

できるだけ早く利益を生むということが良しとされる、そういう考え方です。

MBAの弊害

短期主義というのが蔓延する原因になったものが、ビジネススクール、MBAなわけです。

これらがすごくもてはやされるようになってから、どんどんこの短期主義というのが蔓延するようになったと言っています。

このMBAで教えていることが、まさに目先の利益をどう考えるかということになるんだと。

ちょっとざっくりとした解説ですが、そういうことを教えてるからそういう短期主義というのが広まっていってしまったんだと、これが1つ目の理由です。

市場の圧力

それから市場の圧力も増しているそうです。

投資家の人たちも、以前よりもすごく短期的に利益を上げようと考えるようになってきたそうです。

以前よりも、目先の利益を求める人たちがすごく増えてきた、ということです。

利益を短期間ですぐに上げたいという、投資家の要求に応えるためには、会社としてできるだけ短期間で利益を上げないと、社長の首が飛ばされてしまうわけです。

ですから、会社の経営者の人だったり、株を発行して起業していこうという人にとっても早く利益を出さないといけない、と。

市場から求められる圧力が、以前よりもすごく強くなってきてるということが原因なんだということを言ってるわけです。

研究分野

ビジネスの分野においては、今言ったようなことが事例としてありますが、研究の分野でも同じようなことが言われていて、たとえばある人工知能、AIの研究者の主張を紹介します。

まず、長期的な研究をする研究者という方が、激減しているそうです。

そして、その結果、何が起きているかというと、研究の進歩が遅くなっていると。

長期的な研究とはどのくらいの期間を言うのかというと、例えば、あるAIの研究者は1950年代の駆け出しの頃、先輩から「30年もかからないような仕事に手を出すな」と、指導を受けていたそうです。

ですが、最近はすぐに研究の成果が出るようなものに行きたがる人が多いんだと。

そして、それを世の中がまた求めてしまっている。

だからこそ、研究というのが進まなくなってきているんだと、そういうことを言っている研究者もいます。

この目先の利益を求めてしまってる状態というのが、こういう現象を起こしているわけなんです。

目先の利益を追うことのリスクを知ろう

こういった一般論から、私たち自身に当てはめていくと、やっぱり目先の利益を求めていくことに偏ってしまうというのは、非常な危険をはらんでいます。

例えば、月収100万円稼ぎたいんだというような人、よく見かけるわけなんですが、なんで100万円欲しいんですか、稼ぎたいんですかという質問に対して答えれる人はすごく少ないんです。

100万円稼ぎたいんですね。じゃあ何のために100万円稼ぎたいと思ってるの?

そういう長期的な視点が全くなくて、目先の100万円が手に入るとなんか良くなるだろう、としか考えてない。

流れに身を任せる、みたいな感じで、とりあえず目先の100万円しか見えてない。

こういう人がすごく多いと思うわけです。

これだと一時、まぐれ当たりで稼げることはあったとしても、稼ぎ続けるということは難しいのではないかと思います。

目先の利益より大事なモノ

ですので、やっぱり稼ぎ続けるということを考えた時には、目先の利益だけ見るのではなくて、人生の目標と、目先の利益というのはセットで考えなければいけないのではないかと思うわけです。

会社経営者とか起業家、あと当然それに限らないですね。

仕事だけに限らず、普通の会社勤めしている会社員の方とか、もしくは主婦の方なんかもそうです。

人生の目標がちゃんと明確に、長期的な視点をちゃんと明確にしていると。

それからそこに向かうための第一歩として、目先の利益を取りにいこうとしてるか。

ここをセットで考えていく必要があるのではないかなと思います。

今あなたがほしいと思っている目先の利益は、何のための今の目先の利益なのか。

そういうことになっていきます。

ただし、目先の利益が悪いわけではない

そしてビジネスの分野で言うと、例えば取るべき行動としては、その目先の利益を取るために何をするかというのは、大きく2つに分けられるわけです。

魚をもらいにいこうとするか、それとも釣り方を覚えようとするか、この2パターンになっていきます。

魚をもらうというのは、ノウハウを教えてもらうということです。

短期的な利益、目先の利益のことです。

バーゲンセールでとにかく短期的な売り上げを上げようというのも、こちらの部分に入ってくる内容かなと思います。

一方で、釣り方を覚えるというのは、コツコツと仕組み化をしていく。

ここがマーケティング、Webということです。

こっちから売り込みに行かなくても、自然とお客様が集まってくるような仕組みを作っていく。

それがマーケティングですし、そのマーケティングを実現するために、Webというのは非常に便利に使えますので、このWebの構築というのを進めていくのも釣り方を覚えるという方に入ってくるかなと思います。

これはどっちがいい、どっちが悪いではないわけです。

仕組み化が、ちょっと長期的な利益を取りにいこうとする行動。

目先の利益を取りに行くのは魚をもらう行動。

では、魚をもらうのが悪いかというと、そういうわけではないんだということです。

いくら仕組みをコツコツやってても、目先の売り上げが立たなければ、経営自体が成り立たなくなってしまいますので、目先の売り上げというのは絶対に必要なわけです。

なんですけど、そこに偏ってはいけないんだということです。

目先の利益だけに偏ってはいけないんだと。

そうではなくて、目先の利益を得ようとする時には、ちゃんと長期的な利益というのをちゃんと視野に入れた上で、目先の利益を取りにいこうと、そういう姿勢が必要なのではないかと思うわけです。

この二つをちゃんとバランスよく取っていくというのが、取るべき行動なのではないかと思うわけです。

人間の本能を知って使いこなす

このあたりをしっかりと頭の中で認識しておかないと、自分の理性でコントロールができなくなるんです。

なぜかというと、本能からは避けられないからです。

本能というのは脳の、爬虫類脳なんて言われますが、欲望であったりとか、生き延びるための本能ですので、その本能を無くすということはできないんです。

ですから、その本能のままにいってしまうと、目先の利益をついつい取りにいこうとしてしまうということがわかってるんです。

そういう感情が出てくるということを、予め知っておく。

で、その感情が出てくるってことを計算した上で、この取るべき行動というのを取っていくということが必要になってくるわけです。

これは、心理学の実験とかでも明らかになっています。

目の前の小銭が得られるか、5年後大金が得られる。

どっちか1つ選べるとどっちがいいですか?と言われたら、多くの方はこっちの目の前の小銭を取りにいこうとするそうなんです。

まさに目先の利益を取りにいこうとする本能があるということのが、人間心理として分かっているわけなんです。

ですので、この心理があるということ、その本能があるということをちゃんと計算した上で行動を決めていくことが必要になってくるわけです。

目先の利益を追う時の考え方

それから、この目先の利益ということを、この認識をどう捉えるか。

何を目先の利益とするかということです。

これ自体も、ちょっと見直す必要があるのではないかなと思います。

この認識によって、取るべき行動というのは変わってくるからです。

目先の利益だけ取ろうとするのは良くないよということは、昔の人もいろんな言葉で、名言が残されています。

吉田兼好

古典を見ても、『徒然草』の吉田兼好は「大欲は無欲に似たり」という言葉を言っています。

大欲というのは長期的な利益、長期的な欲、そういうふうに捉えられますよね。

そうすると無欲に見えるんだと、目先の利益を取りにいこうというふうに見えない、そういうことです。

いろんな解釈がありますが、この目先の利益ということと関連した時には、こういうふうに言えるのではないかなと思うわけです。

論語

それから『論語』なんかでも、「君子の儒と為れ、小人の儒と為ること無かれ」。

この君子というのは偉人です、大きな志を持った人間だと。

それを君子と言っていますし、それが国を治める立場の人、そういういろんな意味で君子と言っていますが、儒というのは儒教の儒です。

『論語』のこの時代に、儒教の学者の意味になっていきます。

なので、儒教を勉強するんなら、小っちゃい志で勉強するんじゃなくて、大きな志を持って儒教を勉強しなさいよと、そしてそれを実践しなさいよということを言っているわけです。

それから「君子は本を務む、本立ちて道生ず」という言葉もあります。

結局根本の部分、本質をちゃんと抑えるということを君子はするんだということです。

その本質を抑えるからこそ、道生ず、道が生まれていくと。

今自分がやるべきことが何なのかというのが、自分で見えていきますよということを言ってるんです。

このあたりも、長期的な視点をちゃんと持ちなさいよと、そうすれば目先の一歩、目先の利益をどこに取るべきかということがわかっていきますと、そういうふうに解釈することができるのではないかと思います。

ことわざ

もっと分かりやすいことわざで言うと、「木を見て森を見ず」なんていうことも言います。

目の前の小銭、利益、目先の利益だけ見て、この木が目先の利益です。

もっと全体的な利益というのを見てないよと、それじゃダメだよということをことわざで言ってるわけです。

もっと直接的には「一文惜しみの百知らず」なんていうことを言ったりもします。

人間の脳にはそういう習性があるんだと、そういう本能があるんだということが、昔の人が経験上わかっていたので、こういう言葉を通して、注意を促してくれているんです。

そういう本能があるということは、ぜひ前提として、この目先の利益をどう取りにいくかということを考えてみるといいのではないかと思います。

お金以外の利益も得ていこう

最後に、目先の利益とは何かということで、利益というのはお金という意味合いで今まで使ってきました。

ところが、利益とは決してお金だけじゃないのではないかなとも思うわけです。

知識やスキル

例えば得た知識とかスキル、他にもいろいろあります。

芸術的な感性なども、磨けばそれだけ自分の人生を豊かにできます。

磨いた瞬間から磨いた分だけ豊かになりますので、そういった利益というのもあるのではないかなと思うわけです。

人間関係

それから、いい人間関係を広げていくということもそうですし、自分の人生にとってどうなのかということもそうです。

利益というのをお金、金銭的な利益だけではなくて、もっと大きな意味合いで利益ということを考えていくといいのではないかなと思います。

なので、何が本当の利益なのかを知ることがすごく大事なのではないかなと思うわけです。

自分にとっての本当の利益とは何か

本当の利益というのは、当然人によって違ってきますので、自分にとって本当に利益になることは何なのかということを、常に自問自答し続けるということです。

それは何か利益を取りにいこうとした時に、一旦振り返ってみるということです。

振り返る、自問自答してみる、自分自身に質問してみるということです。

何のためにその利益を取ろうとしてるのかということです。

それからさらに、本当にそれが利益なのかということを自分自身に問いかけてみる。

こういったことを繰り返していくと、本当の意味での自分にとっての利益は何なのか、こういったことが見えてくるのではないかなと思います。

利益を上げ続けるチャレンジ精神とは?

一番最初にお話したように、この目先の利益というのを、本当に数字とかお金だけに囚われてしまうと、チャレンジ精神というのが失われていくということが明らかになっています。

つまり、失敗を恐れるという心であったりとか、結果的に成長だったり、イノベーションというのを抑えていくような、そういう選択になってしまっているわけです。

それだと、どんどんどんどん世の中、状況が変わっていく中で、どんどん保守的になってしまうわけで、今は通用してても、後々通用しなくなってしまうということが言えるのではないかと思います。

そういうリスクがある。

ですので、目先の利益というのは何なのか。

その選択をすることが自分の成長に繋がるのかどうなのか。

これが本当の利益を取るという意味になるのではないかと思います。

ここは、自分にとっての利益ということをぜひ探求していただいて、何が本当の利益なのかということをぜひ明確にしていただけたらいいのではないかと思います。

 

動画ではマインドマップを使って解説していますので、合わせて参考にしてみてください。

この記事を書いた人

作家/マーケター

人生の試練に打ちのめされた20代を経て、自分らしさを軸にした文章術を武器に独立。人材開発とマーケの2軸で活動中。人の強みや才能を引き出す独自のカウンセリング技術を開発。千葉生まれ、広島育ち、大分、熊本、静岡、福岡、新潟を経て現在は東京在住。

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