覚悟の決め方について、今回は考えていきます。
覚悟とは、目に見えないものですよね。
本気ややる気と近しいのではないかと思います。
営業の会社では、本気が見えないとかやる気が見えないなどと、よく言われます。
根性論や精神論で片付けるだけの便利な言葉として、使われているケースが多いのではないでしょうか。
覚悟、やる気、本気というのは、「気」と書いてあるように、目に見えないものです。
目に見えないからこそ、扱い方が人によって千差万別ですし、すごく厄介なんですね。
覚悟が決まっているかどうかというのも、完全に主観になってしまいますし、本気でやっていますと言っていても、口だけになってしまうこともあります。
そんな覚悟について、今回は様々な視点で考えていきます。
そもそも覚悟の定義とは?
覚悟をどのような定義をすると分かりやすいかというと、行動と結果で証明するものと考えると、いいのではないかと思います。
覚悟が決まっている、決まっていないというのは、言葉だけでは証明できません。
その言葉が行動につながったか。
その行動がどのような結果につながったか。
ここまでセットにして考えるべきではないでしょうか。
古典から覚悟を考えてみる
本気、やる気、覚悟がなければ、何事も成就することは難しいでしょう。
いい人生を過ごすためには、本気、やる気、覚悟はなくてはならないものだという前提があります。
この共通意識はみなさん持っています。
しかし、その覚悟がどの程度あるのか、覚悟があるとはどのような状態を言うのか。
そこが人によって随分と扱い方が変わってくるわけです。
本気、やる気、覚悟は、古今東西問わず共通して、必ず大事なものになるので、昔から言われ続けていることでもあります。
いくつか古典の中から、私の好きなものを紹介します。
白隠禅師
白隠禅師は江戸時代に静岡のあたりに住んでいた臨済宗の禅のお坊さんです。
白隠禅師が言っている言葉として有名なのがこれ。
「大悟徹底すること七たび八たび、小悟徹底すること枚挙にいとまなし」
白隠禅師は、悟ったつもりになって成長が止まって、それ以上探求しない禅のお坊さんが許せなかった。
「このなまくら坊主どもが!!」
とかなり過激に批判しています。
覚悟という漢字は、どちらも「さとる」と読みます。
白隠禅師は本気で禅の道を極めていこうとしたときに、小さな悟りは数え切れないほどあり、自分自身が大きくパラダイムシフトするような大きな転換も、七たび八たびあったと言っています。
そういった白隠禅師ですから、小さな悟りをひとつ得たところで安住しているような禅僧は許せなかったのでしょう。
禅の道を極めようという覚悟が全く薄っぺらで、そんな偽物の禅僧などあってはならないと、ずっと言い続けていたわけです。
それが白隠禅師の書籍で、古典として残っています。
孟子
時代をさかのぼって、中国の孟子の言葉を紹介します。
「学問の道は他無し。其の放心を求むるのみ」
その孟子から刺激を受けて、吉田松陰は自分の覚悟を定めたようです。
「放心を求むるのみ」とは、自分がやると決めた道をとにかく行き、他に気を散らさないという意味です。
孟子は正しい学問の道を追求していましたので、その覚悟が現れる言葉として、1つ参考になるのではと思います。
僕の好きな言葉でもあります。
孔子
同じく儒教の『論語』にも書いてあります。
『論語』は孔子の言行録がまとめられている古典ですね。
孔子は孟子よりもさらに古い人です。
孔子も正しい生き方、正しい道を広めようとしていました。
1つの有名な言葉を紹介します。
「朝(あした)に道を聞かば、夕べに死すとも可なり」
命の有り無しよりも、学問の道をそれ以上に求めている覚悟が伝わる明言ではないでしょうか。
カール・ヒルティ
それからヒルティはスイスの哲学者であり弁護士だった人です。
代表的な著作は『幸福論』『眠られぬ夜のために』です。
ヒルティは熱心なキリスト教信者なのですが、キリスト教は若い頃からやりすぎると良くないというふうに言っていました。
なぜかというと、自分の努力をなくすからだと。
キリスト教は様々な流派があると思いますが、誤解を恐れずに言いますと、キリストを信じれば救われるという考えが根本にあります。
自分でなんとかしようというよりも、キリストを信じれば救われると言っているのがキリスト教です。
ヒルティ自身も熱心なキリスト教で、隣人愛や人のための愛情がすごく深かった人なので、キリスト教の教えを実践していました。
そんなヒルティが、若い頃はキリスト教に熱心になるのは良いことではなく、それよりも自分づくりが大事だと言っている点が注目に値します。
ヒルティが学んだ考え方は、ギリシャ哲学のストア学派と言われる考え方でした。
実践者として有名な人としては、16代ローマ皇帝マルクス・アウレリウス・アントニウスと、エピクトテスの2人で、エピクトテスは奴隷だった人です。
すごく身分の低い奴隷のような立場なわけですから、現実的には不幸ですよね。
でも、幸せかどうかを決めるのは結局自分自身で、自分がすべての価値観、感じ方を決めると言ってるのです。
自分づくりが大事なんだということで、奴隷という立場でもストア学派を実践した人です。
こういった人たちが残している言葉は、覚悟を感じることができます。
スティーブン・コヴィー
次に『7つの習慣』は有名な自己啓発の本ですね。
これももはや古典と言っても良いと思います。
この中でも、7つの習慣の第1「主体的になれ」とあります。
これはストア学派と通じるものがあります。
全て起きたことは自己責任で、そこには覚悟が必要なんだと。
覚悟とは行動と結果で証明するものだと考えると、「主体的になれ」とは、自分の人生は自分で覚悟を決めろとも言い換えられるのではないかと思います。
濃野平
現代の書籍でも覚悟を学べる本があります。
『情熱の階段』という本は濃野さんご自身のノンフィクションなんですが、日本人で唯一スペインの闘牛士になった方です。
前例がないチャレンジをした方の覚悟は半端ないです。
周りからは無理だと言われる中で、どうやってそこで勝ち残って行ったか。
闘牛士として生き残るためにどういう行動をしていったか。
リアルに生々しく書かれていて、心が熱くなります。
春山満
それから春山さんの『僕はそれでも生き抜いた』も、胸に響くものがありました。
この方は、筋ジストロフィーという体が動かなくなる病気になり、20代後半から、車椅子で生活をしている方です。
体が動かない中でも気力は凄まじいものがあって、会社の経営や、同じく障がいを持たれた方にとって、より良い世の中を作るための商品を開発して、福祉の業界に多大な貢献をされました。
一見、体が動かないという落ち込んだり、色々な場面で不利になったりする状況で、それをバネにして飛躍していく生き様は何度読んでも感動するので、ぜひオススメです。
アンジェラ・ダックワース
それから『やり抜く力GRIT』は、覚悟ややる気を心理学の分野で研究し続けている人で、それを1冊にまとめた本になります。
本気、覚悟、やる気などのやり続ける、行動し続ける。
そして結果を出せるというのは、精神論ではなく、学問的な裏付けがあるということが、この本を読むと分かると思います。
覚悟を決めるときに大事なことはまず、覚悟とはなにかを理解することです。
目に見えないものなだけに、どう捉えるかという認識にどうしても差が生まれてしまいます。
これを自分なりの狭い知見で捉えていることがもっとも怖い。
過去の偉人が言っていたこと、行動で証明してきた人たちの言葉は、覚悟の形をそれぞれ正しく表現してくださってるので、ここから学ばない手はありません。
このあたりの本を読んで、覚悟とはどういうものなのかを、ぜひ認識を自分の中で整えていただければと思います。
覚悟とは行動と結果で証明していくもの
そして、こういった本を読んだ中で、自分が感じている覚悟というのは、行動と結果で証明していくものだと思っています。
行動するときは自分で決めなければなりません。
他人から言われたことを行動しても、覚悟は全く伝わりません。
自分で決めて行動するからこそ、行動し続けることができます。
そのためには、自分が何をしたいのか、自分を知るということが大事になってきます。
自分を知らないと、自分が何をしたいのかという目標が分からないので、目標設定ができないと当然覚悟も決まりません。
それから、行動というのは1日だけしたら良いものではなくて、し続けないと結果で証明することができないです。
なので、継続するためには、良き習慣を作るということが大事になってきます。
ただし、精神論、根性論ではない
これは先ほども言ったように、精神論だけで考えてしまうと覚悟というものを誤解してしまいます。
ものすごく頑張る、根性だけで乗り切る、のような類のものでもありませんし、空想しているだけではいけません。
たとえば、目標設定というときに、毎月100万円稼げたら良いなとただ言っているだけでは空想にすぎないんですね。
ただ空想しているだけでなく、行動とセットになっているかが大事になってきます。
ですので、行動できる自分を作ることが、覚悟を定めるときに、同時に大事になってきます。
自分を知る
良き習慣を作るということは、自分を知る、ということも近い事柄になってくると思います。
面白い例を紹介します。
アメリカでアメフトの指導をするときの実話ですが、人生の究極の目標とはなにかを、指導者がプレイヤーに聞くそうです。
アメフトで結果を出すことと、人生の究極の目標はどんな関係があると思いますか?
一見すると関係ないように思えます。
しかし、アメフトはその人の人生の一部なわけです。
自分の人生の目標というのは究極な目標なわけですが、そこに到達するための1つがアメフトなわけです。
そういうふうに考えられる人は、苦しい練習も自分の人生のためにやっていると思えるので、継続できる習慣づくりや、行動し続ける自分を作れるようになるそうです。
そして、プレーヤーとしての実力をメキメキつけていくのだそうです。
自分に哲学を持つ
別の言い方をすると、自分に哲学を持つというような言い方もできます。
自分に哲学を持たないと継続できない。
要は自分を知らないという状態だと失敗をするということです。
行動する自分の根源となる哲学とはなにか。
自分にとって情熱はどの分野で発揮されるのか。
こういった目標設定や自分を知ることが、アメフトで指導する際にも使われていることが、驚きなのではないかと思います。
ブログ運営で結果を出すための覚悟
自分自身の話になるのですが、ブログのアクセスを6ヶ月で毎月90万PV、13ヶ月で月150万PV集めることができました。
数字を見て、すごいですねと言われることもありますし、ノウハウを教えて欲しいと頼まれて講師をすることもあります。
これが実現できたのは、なぜか。
それは、自分ができることとできないことを明確にしたのが、成功の大きな要因だったと思います。
『論語』にも
「知っていることと知らないことを知りましょう、それが本当の知るということだ」
と書かれてあります。
書き下し文で言うと
「これを知るをこれを知ると為し、 知らざるを知らずと為せ。これ知るなり。」
ですね。
自分の中でできることできないことを整理、明確にすること。
そうやって自分を知る。
それから、できることをとことんやろうという覚悟を決めたことで、行動がぶれなくなって、1つのことをずっとやり続けることができました。
その積み上げの結果として月間150万PVを実現できました。
周りから言われたことを行動するのではなく、自分で行動を決める、覚悟を決めるのが、大事になってくるのではないかと思います。
覚悟を決めるオススメの方法
具体的な覚悟の決め方で、オススメの方法を、最後にお伝えしたいと思います。
まず、自分がやりたいことや人生で達成したいことを、とにかくたくさん書き出してください。
できれば期限で区切ってみる、というのも良いです。
まずは一生、次は5年後、その次は来月。
いろいろな単位でやってみると良いと思います。
そして書き出した後は、優先順位を立てて5つに絞ります。
やりたいこととやらないことを決めてください。
そして自分が行動することを、自分で明確にしてください。
そうすると、自然に行動できる自分を作ることができ、習慣を作ることができます。
それは苦しいけどただやり続けるというような、ものすごく頑張る、根性で乗り切るというものとは質が全く違ってきます。
当たり前のように動ける状態を作れないと続きません。
覚悟を精神論や根性論だけで語ってしまうと、覚悟の本質を見誤ってしまいます。
ぜひ自分で決めて、何を行動するか、いますぐ決めてください。
そして、その行動と結果で証明するのものが覚悟であると定義すると、覚悟の決め方も変わってくると思います。
ずっと学んでいこう
覚悟についてつらつらと語ってきました。
でも、自分自身の覚悟というのは、偉大な先人に比べると全くちっぽけで足りないものと認識しています。
なので、もっと自分づくりを考えるときに、今回紹介した本を繰り返し読んでいます。
まだまだ足りないな。
もっと○○しないとな。
このような気付きが得られるのが名著だと思います。
もちろん、私が紹介した本に限らず、素晴らしい方は世の中にたくさんいらっしゃいます。
理想とする覚悟の状態も人によって違うかもしれません。
ぜひ古典や今生きている人たちの中で、覚悟が素晴らしく生き様がすごい方との出会いを大切にしてください。
そういう方との出会いというのも大事にしていくことも、覚悟の決め方としてすごく有効なのではないかと思います。
自然と覚悟が決まった生き方ができるようになればいいですからね。
覚悟の決め方として参考にしていただければ、嬉しいなと思います。
動画ではマインドマップを使ってお話していますので、合わせて参考にしてみてください。
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