足るを知ることの本当の意味とは?龍安寺や老子の教え

今回は、足るを知るということについてお話をしていきたいと思います。

足るを知ることの大切さは、昔から言われ続けています。

有名なところで言うと、京都の竜安寺にも教えがありますし、中国の古典である老子にも、そういった言葉が見られます。

なぜ、足るを知ることが大事なのか。

今回は、分かりやすい事例として、お金題材にしてお話していきます。

たとえば、あなたは月収いくらあれば満足するのか、ご自身のことが分かっていますか。

なんとなく月100万円稼ぎたいという方は多いのですが、何のための100万円なのか、あやふやな人も多いです。

稼いだあと何がしたいのかと聞くと全く思い浮かばない人がそうですね。

100万円あれば何か良いことが起きそう、という感じで思っています。

果たしてその人の幸せに100万円が本当に必要なのか、疑問ですよね。

本当に100万円がないと幸せを手に入れることができないのか。

そういったことを考えていくと、自分にとって必要なお金という価値観が確立されていきます。

今回は、足るを知るということとお金を繋げて、お話をしていきたいと思います。

目次

あなたにとって、お金はいくらあると足りるのか?

まず、月にいくら稼ぎたいと思っているか、を明確にすることです。

これは人によって違いますので、大きな金額を言えば正解といったことではありません。

先ほど言ったように、稼ぎたいお金を何のために使おうとしているのかが大事なわけです。

そのお金がないと本当に困るのか。

本当にお金を感謝して使えているか。

足りないと思って不満を感じながら使っているのか。

そういったお金についての価値観のことですね。

もしかすると、お金が足りないと思い込んで、勝手に苦しいと思い込んでいないでしょうか。

お金はある方が良いにこしたことはないのですが、そもそもお金があれば全てが丸く収まるかというと、そうでもありません。

あなたの苦と楽は思い込みかも・・・!?

自分が苦しいと思っていることが、実はそうでなかったり、自分が楽だ、幸せだと思っていることが、実は苦しいことをしていたりすることが、よくあるわけです。

例えば体の姿勢でも、同じことが言えます。

私は、猫背の癖がなかなか治せないでいます。

なぜかというと、猫背の方が筋肉を使わなくて済むし、楽だと思い込んでいたからです。

でもそうすることで、首や肩がこり、結局体に無理がきて自分自身を苦しめていた、ということに気づいてからは変わりました。

楽をしているつもりが、苦しい思いをしていたことに気づいたからです。

実は、背骨をまっすぐにした方が、重力の負担を体で受けずに背骨で支えられますので、そちらの方がはるかに体にとって楽なのです。

つまり、今まで苦しいと思っていたことが、実は楽だったと気づいたわけです。

お金がいくらあると満足なのか

お金も、そういったことがあり得るのではないでしょうか。

100万円稼げないと幸せになれないと思っている人は、99万円以下だと不幸なのでしょうか。

お金が、自分にとってどう意味があるのかをはっきりしていかないといけないわけです。

お金の価値観があいまいなままで、何が自分にとって幸せかが分からないと、お金を正しく使うこともできませんし、正しく稼ぐこともできません。

では、お金が足りるとはどういうことか

古来より、いろいろな名言が残っているわけですが、代表的な例として老子の言葉を紹介します。

「足るを知る者は富む」

今、十分足りていると感じられる人は、豊かな人である、ということです。

それから現在生きている方で、アイルランドのマーク・ボイルという方は『僕はお金を使わずに生きることにした』という本を書かれています。

検索をするとAmazonに出てきますので、読んでみるととても面白いと思います。

マーク・ボイルは、現代社会は何をするにしてもお金がなくては生きていけませんが、そこに違和感を感じていたそうです。

そこで、1年間全くお金を使わない生活をしてみた、という方です。

人間関係は当然切れるわけではありませんし、たった一人で生きるわけでもないので、それ以前の友達との繋がりは保ったままで、友達からもらうものは使っていきました。

そういう人間関係や社会生活はできるだけ維持しながら、車は石油を使うので乗らず、お金を絶対に使わないようにしたそうです。

住むところや料理するところ、暖房も手作りをして、生きていく知恵を絞っていくと、実際にお金を使わない生活は実現できたそうです。

なぜそこまでしたのか。

それは、お金がなくても単に生き伸びられるということではなく、お金がなくても豊かに暮らせることができるということを証明したかった、ということでした。

そして、実際に経験することで、生きることの喜びや、人との繋がりのありがたさを知ることができたと。

この経験を通して人生が豊かになったと。

そういうことが、この本に書かれています。

お金についての価値観が大きく変えられる本ですので、面白いのではと思います。

龍安寺の蹲(つくばい)にも

それから、足るを知るについて有名な言葉を残しているのが、龍安寺というお寺です。

龍安寺は、京都市右京区にある禅宗の一派である臨済宗のお寺です。

龍安寺の庭には、つくばいが置いてあります。

つくばいとは、縁側近くの庭に供えてある手水鉢(ちょうずばち)のことを指すのですが、そのつくばいに「吾唯知足(われただたるをしる)」という言葉が刻まれています。

禅の教えでも、「足るを知る」が言われているわけです。

ちなみに、龍安寺で有名なのが、石庭です。

庭には、15個の石が並べられています。

15というのは、東洋では満ちた数字、完成されたもの、真理を表す数字とされています。

その15個の石が、1ヶ所から全てを見きることができないように配置されています。

つまり、完成されたものや真理は、全て見きることはできないという教えが込められていると言われています。

果たして足りているとはどういうことなのか、足りていないとはどういうことなのか、今一度考えてみてください。

そもそも知るということはどういうこと?

それから、知るということ自体にもいろいろな言い方があって、はたして知ることはどういうことなのか、分かっていないケースが多いのではないでしょうか。

お金の価値観についても、お金が大事だと分かっていますかと尋ねたら、ほぼ100%大事だと答えると思います。

それは本当の意味で知ることができているかというと、甚だ疑問なわけです。

老子

そもそも知るということはどういうことかを考えていくと、老子の言葉に「知りて知らずとするは上、知らずして知るとするは病なり」というものが残されています。

知っていると思っていても知らないものだと捉えるものが良く、知らない癖に知ったふりをするのは病気である、と言っています。

論語

論語では「知るを知るとなし、知らざるを知らずとなす。これ知るなり」という言葉が残されています。

知っていることと知らないことをはっきりさせることが、知るということ、という意味です。

マーク・ボイルさんの『僕はお金を使わずに生きることにした』を読んで初めて、現代社会においてお金を使わずに1年暮らすということはどういう生活なのかを、知ることができました。

どこかでお金がないと困ると思っていましたし、今も実際にお金がないと困るので無いよりはあった方が良いのですが、はたしてお金はなぜいるのだろうか、自分の人生にとってなぜ必要なのかということが、より分かるようになってきました。

なので、知ることはとても大事なことです。

世界には60億人以上の方がいますし、歴史を紐解けば何千年も前からいろいろな人がいろいろな生き様をしているわけですので、そこから学ばないのはもったいないです。

白隠禅師

白隠禅師という禅のお坊さんは、江戸時代の静岡県にいらっしゃった臨済宗の方です。

その方がとても大事にしていたのは、大疑団を持てということです。

物事や自分自身に対して、疑うことが大事だということです。

常に疑っていく先に、大歓喜がやってくると言っています。

分かる喜び、知る喜びが大歓喜であり、悟りの喜びだと言っています。

かなり意訳なので、白隠禅師の残した書物を読んでみると、さらに深い意味が分かるのではないかと思います。

ここでお伝えしたいことは、知るということについて、本当に知れているのかを疑わないといけない、ということです。

知ったと思っていても、もしかしたらまだ分かっていないことがあるのでは、という前提を持っておくことが大事です。

自分のお金の価値観を知ろう

こういうことを知っていくと、お金の価値観についてしっかり分かっているかどうかも、自分の中で説明がつくのではないでしょうか。

自分なりの答えで構いませんので、月いくら稼ぎたいのか、お金がないと本当に困るのか、どういう時に困るのか、お金をしっかり感謝して使えているかどうかを確認してみてください。

知るとはどういうことかさらに考えてみると

それから、お金の価値観を知るということをずっとお話ししていますが、知るだけでは全く意味がありません。

どういうことかというと、行動に移さなければ意味がないからです。

行動に移さない知識は、単なる頭でっかちでしかありません。

学校のお勉強と一緒で、社会に役に立たない記憶だけのようなものです。

足るを知る、という言葉を知ったところで、人生に何の変化も起きないわけです。

知識を得るのは何のためか。

それは、行動に移すためです。

行動に移すことで初めて、人生の結果を変えていくことができるからです。

自分を変える行動をすることにこそ価値があるわけで、ただ知ることだけには価値がない、ということを忘れないでください。

お金の価値を知るための行動

お金の価値観を正しく知った後は、正しくお金を稼いでいくことも現代社会においては求められることです。

そして、お金を正しく稼ぐということは、自分自身を豊かにするということでもあります。

お金の価値観がはっきりしたら、自分の中で行動を変えていってください。

行動を変えていくと、感じるものが必ずあります。

例えば、お金の価値を知るために、今までと違う行動、お金の使い方を変えるということもやってみたら面白いです。

今まで使っていたお金を使わなくしたり、今まで使ったことのなかった別のことに使ってみたりすることです。

それによって、自分が何を得ているのかを感じることができます。

はたして、今までのお金の使い方が本当に自分の幸せに繋がる使い方をしていたのか。

実は、いらないと思っていたことにお金を使うことが、自分にとっての幸せだったということも、たくさん起こりうるわけです。

ただ知識や言葉を知るだけでは何の意味もありません。

自分が行動に移すことでどんな気づきがあるのかを、自分の中で増やしていくことが大事です。

視点を増やすということ

そして、世の中は広いですし歴史は深いわけですから、知らないことはまだまだあると思っておくと、自分の視点を増やしていくとこができます。

その前提で行動を変えていけば、普段の生活の中で視点を増やす訓練が自然とできるようになっていきます。

視点を増やすことができれば、自分をどうやったら幸せにできるかという視点も増えていきますので、幸せなお金の使い方にも繋がっていきます。

足るを知るということは、自分の行動を変えること

ぜひ、自分の視点を増やすために、今まで自分が思っていた当たり前を疑ってみてください。

そして新しい当たり前を、もっと良い当たり前を作っていき、自分自身を変えてみてください。

そのためにはお金の価値観の見直しです。

いくら稼ぎたいのか、ないと本当に困るのか。

今足りないと思って苦しいと思い込んでいないか。

そういうことを自分自身に問いかけることが、自分の中から答えを導き出すために有効なので、練習をしてみてください。

何かをしよう、何かにお金を使おうと思った時には、何のために使うか、それが本当に自分にとって幸せで満足させるものかを考えてみてください。

今回は、足るを知るということについて、龍安寺や老子、論語、白隠禅師の言葉を参照しながら、お金の価値観と結びつけてお話をさせていただきました。

 

動画ではマインドマップを使いながら解説していますので、合わせて参考にしてください。

この記事を書いた人

作家/マーケター

人生の試練に打ちのめされた20代を経て、自分らしさを軸にした文章術を武器に独立。人材開発とマーケの2軸で活動中。人の強みや才能を引き出す独自のカウンセリング技術を開発。千葉生まれ、広島育ち、大分、熊本、静岡、福岡、新潟を経て現在は東京在住。

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